「社労士を目指そうと思うけど、私って向いてるのかな?」
「興味を持ち始めたけど、難しい法律用語が並んでるし、難しそうだな…」
そんな悩みを持っていませんか?
私は実際に、社会保険労務士事務所で働いていました。
この記事ではどんな人が社労士に向いているのか、紹介していきます。
社労士の仕事内容
社労士は、人事・労務・雇用など、企業の労務管理に関するスペシャリストです。
労働基準法や雇用保険法・労働者災害補償保険法といった各種法律に精通し、企業と労働者の問題の解決・社会保険手続き・労働環境整備・人事コンサルタントなどの業務を、専門的に行います。
社労士の主な業務は、大きく分けると、独占業務である「1号業務」「2号業務」と、コンサルティングの「3号業務」があります。
- 【1号業務】
行政機関に提出する労務管理書類の作成代行。(労働保険の設立届等) - 【2号業務】
労務管理に関する帳簿作成。(労働者名簿・賃金台帳・出勤簿) - 【3号業務】
労務・社会保険のコンサルティング。(企業と労働者間のトラブル解決)
このほかにも、給与計算・助成金申請など、社労士の仕事は多岐にわたります。
社労士に向いている人
数字に強く、細かい作業が苦にならない人
社労士の仕事は、給与計算や助成金申請・その他書類を作成するにあたって、計算が必要になります。
計算作業は単純なものから、労災保険や傷病手当金を計算するなど、さまざまな公式を用いて複雑な計算を行うこともあります。
こういった作業を、電卓を使い、各従業員・相談者ごとに一つづつ丁寧に計算していかなければなりません。
給与計算にいたっては、毎月行う地道な作業です。
大切なお金に関することですので、ミスなく正確に計算できる几帳面さが、社労士には求められます。
そしてこれらの計算に加え、必要書類や資料の記入ミス・添付漏れがないかも同時に確認していかなければなりません。
これらにミスがあると、本来もらえる保険金・助成金がもらえなくなってしまいます。
数字を扱うことが苦にならず、細かな書類チェックが問題なくこなせる人が、社労士には向いています。
責任感が強く、まじめな人
社労士は数字を扱い、「年金、社会保険、給与計算、人事労務」など、個人や企業にとって非常に重要度の高い分野を取り扱います。
給料計算や保険料の計算など、間違えがあってはなりません。
さらに、それらは法律によってルールが定められているため、小さなミスが後々大きなトラブルに発展することも十分にありえます。
そういった危険性を常に念頭に置きつつ、細かい数字を追い、書類内容に誤りがないかを念入りにチェックする必要があります。
「このくらいいいや。」
と仕事に妥協することのないまじめで責任感が強い人が、社労士には向いています。
労働問題に対する意識が高い人
近年、ブラック企業が問題になっています。
労働基準法・労働安全衛生法など、従業員が企業から不当な扱いを受けないように整備された法律です。
それにも関わらず、企業が労働の法律を無視する、法律を知らずに違法な環境で従業員を働かせているなどということは、よくある話です。
社労士はこうした企業に対して、誰もが働きやすいと思える環境になるように法律に沿ってアドバイスし、制度設計・労務管理を指導していかなければなりません。
労働や雇用に高い関心を持ち、労務管理の専門家として、社長が相手だろうと毅然とした態度でコンサルティングできる人が、社労士には向いています。
ストレス耐性に強い人
社労士の仕事は、さまざまなトラブルの相談を受けます。
「まじめに働かない社員をどうしたらよいか」
「有給を使わせてもらえない」
「パワハラを受けている」
このような場合、片方だけの話を鵜吞みにせず、お互いの話をよく聞いて解決へ導かなければなりません。
一歩間違えると、さらに大きなトラブルに発展しかねないため、アドバイスの際に細心の注意を払う必要があります。
そのため、ストレス耐性が高いか、もしくは上手く気持ちを切り替えれる人でなければ、長期的に社労士を続けることは難しいかもしれません。
コミュニケーション能力が高い人
社労士の仕事は、細かい計算や書類作成ばかりに目が行きがちですが、高いコミュニケーション能力も必要です。
なぜならば、業務内容に労務管理の相談や指導があるからです。
勘違いしてはいけないのが、「話し上手」ではなく、「聞き上手」です。
相手の話をよく聞き、相談に応じ、適切なアドバイスをすることが求められます。
さらに、独立開業を目指すのであれば、営業力も必要です。
どれだけ高い専門知識を有し、優秀な社労士だったとしても、自分という存在を世の中にアピールし、仕事を依頼してもらえるようにしなければ、収入は0のままです。
「高いコミュニケーション能力」、独立を目指すのであれば「営業力」、この2つは、社労士にとって必要不可欠な能力です。
法律・世の中の動きに興味のある人
社労士の仕事では、労働基準法や社会保険関連の法律だけでなく、税法などの様々法律に嫌でも触れることになります。
法律は毎年のように改正されるので、情報をこまめに確認しないと、「知らない間に法律違反になっている」なんてこともあり得ます。
また、助成金申請も社労士の大切な仕事です。
厚生労働省が今何に力を入れているかを確認し、どのような助成金があるのかを確認する必要があります。
顧問をしている企業に新しい動きがあり、本来であれば助成金がもらえたはずなのに、「その制度を知らなかったがためにお客さんが大損をした」なんてことは、あってはなりません。
世の中の動きに敏感なことも、社労士として働くうえで重要です。
企業の経営に興味のある人
社労士は書類や帳簿の作成以外にも、企業のコンサルティングをおこなうことがあります。
就業規則の作成や賃金制度の設計、福利厚生の仕組みの考案にも力を貸します。
「どのような制度があれば経営に負担をかけず、労働者にとって快適な労働環境を作ることができるのか?」
従業員が業務に集中し、かつ企業の業務の効率化を図ることができるよう考えるのが、労務のプロフェッショナルである社労士の腕の見せどころです。
こうして、企業の経営に間接的に貢献できるため、企業経営に興味がある人はやりがいを感じられるで職業です。
また、社労士が関与することにより、他の企業から「あの会社は労務管理がしっかりしている。」と評価されることが多くあります。
社労士に向いてない人
細かい作業が苦手でおおざっぱな人
社労士の仕事は、数字・書類を多く扱います。
よって、ミスがないのが前提の業務内容になります。
「数字のミスがないか」「書類に不備がないか」など、念入りにチェックしなければなりません。
細部まで注意深く確認せずに仕事をし、間違いが発覚すると、従業員や企業に大きな不利益を与えてしまうことになります。
さらには、ミスが多ければ当然信用も失い、仕事がなくなります。
慎重さと注意深さが足りない、おおざっぱな人は社労士には向きません。
集中力に乏しい人
社労士の仕事は、入社・退社・人事異動などの人の流れが激しくなる時期と、労働保険の申告・社会保険料の定時改定の期日である7月10日までの期間に、作業が集中します。
この時期は特に多忙を極め、集中して作業に取り組まなければミスにつながります。
従業員の年金や企業の利益に関わる重要な申告になりますので、ミスすると大きな不利益になってしまいます。
こういった理由で集中力に乏しい人はミスを起こしやすいので、社労士には向いてないといえるでしょう。
実績を評価してほしい人
社労士の仕事は、営業などの第一線で活躍する人とは正反対の仕事の取り組みになります。
営業や企画の分野では強みとなる押しの強さ、いわゆる自己顕示力が強い人は、仕事が退屈だったり、窮屈に感じたりしてしまうかもしれません。
社労士が扱う業務は、縁の下の力持ちの役割です。
協調性や他社への配慮が求められ、「自分を犠牲にして相手のために尽くす」という、自己主張よりも組織の利益を優先しなければなりません。
地道な努力が苦手な人
社労士の仕事は勤怠管理であったり、給与計算であったり、コツコツ数字を追う必要があります。
そして社労士試験に合格するためには、長い期間勉強を積み重ね、知識を身に着けていかなけれななりません。
社労士試験の合格率は、毎年6%前後の狭き門です。
さらに合格後も法改正や新しい制度が創設されるため、日々、勉強を続ける必要があります。
こういった、日々の努力が苦手な人は、社労士には向きません。
パソコンが苦手な人
社労士の主な業務である社会保険や労働保険などの申請業務は、一昔前までは手書きでした。
しかし、現在では行政の効率化のために、電子申請が主流となりつつあります。
また、書類作成や帳簿作成・就業規則など、パソコンが使えないと効率よくさばいていくことは難しいです。
会社の規模が大きければ大きいほど、契約企業が多ければ多いほど、これらの業務は増えていきますので、パソコンスキルは社労士にとって必須です。
企業に逆らうことが苦手な人
社労士は、企業の言いなりになってはいけません。
企業が法律違反をしていたら、それを法律に沿うよう指導する立場です。
社会保険労務士法第一条二項に、「社会保険労務士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正な立場で、誠実にその業務を行わなければならない。」とあります。
社会全体の利益のために立ち向かう必要があるのに、それを怠るということは、職務を遂行する社労士の職責を放棄しています。
顧問先企業の言いなりになってしまうような人は、社労士には向いていません。
社労士に必要なスキル
最後に、社労士になる・継続するうえで、必要なスキルを紹介します。
専門知識の習得と勉強の継続
社労士になるには、保険や年金、労務管理に関する必要な知識を習得し、試験に合格しなければなりません。
試験に合格し、資格を取得することで、社労士としての最低限の知識を有していることが証明できます。
しかし、資格を取得したら勉強は終わりではありません。
社労士が携わる法律は毎年のように法改正が行われ、情報がどんどん更新されていきます。
世の中の動きに敏感になり、それらの情報をキャッチしていかなければ、間違った情報をお客さんへ伝えてしまい、「法律違反を犯してしまっていた。」なんてことに、なりかねません。
社労士試験に合格した後もセミナーや講演会に参加して、専門知識を高めるなどの努力が必要です。
事務処理能力
社労士の仕事は、書類・帳簿作成の手続き代行・給与計算などが主な業務です。
パソコンでの作業が中心となるため、専用ソフトやWord・Excelが問題なく使える基本的な事務処理能力が必要です。
コミュニケーション能力
企業や個人を相手に相談業務を行う際、まずは相手の話をじっくり聞く必要があります。
話を聞いたうえで、労務や保険に関する専門的な内容を分かりやすく嚙み砕いて、説明しなければなりません。
忍耐力
社労士の仕事は多岐に渡りますし、同じ書類だとしても、書き方が全然違います。
例えば労災が起こった時に作成する5号様式ですが、どのようにケガをしたのか、当たり前ですが毎回違います。
作成する書類は同じですが、書き方を一歩間違えてしまうと、労災保険がおりなくなってしまいます。
同じことが、傷病手当金申請書や離職票にも言えます。
「仕事が一人前になるには、3年かかる。」と昔から言われていますが、社労士に関しては3年程度では全然ひよっこです。
一人前に自信をもって仕事が出来るようになるには、かなりの年数がかかりますので、それまで忍耐力が必要です。
独立を目指すのであれば営業力
独立開業を目指すのであれば、営業力は必要不可欠です。
独立となれば、自分で顧客を探し、契約をとってこなければなりません。
どれだけ社労士として優秀でも、自分自身を世の中に売り込むことができなければ、仕事はありません。
まとめ
社労士に向いている人は以下のとおりです。
- 数字に強く、細かい作業が苦にならない人
- 責任感が強く、まじめな人
- 労働問題に対する意識が高い人
- ストレス耐性に強い人
- コミュニケーション能力が高い人
- 法律・世の中の動きに興味のある人
- 企業の経営に興味のある人
自分の適性に合わないのであれば、社労士になれたとしてもその先は辛いものになります。
適性がある方は、迷いを捨て、夢に向かって邁進していただければと思います。
下記の記事では、「初めて社労士の勉強をする」というか人に向けて、オススメの社労士講座を紹介しています。
もしよろしければ、参考にしてください。